介護の業務というとオムツ交換や入浴介助、食事介助などの生活動作の介助が多いですが、
それらと同じくらい重要とも言える業務、それがレクリエーションです!
毎日レクリエーションの時間として設けられており、その日担当になった職員がレクリエーションを行います。
正直レクリエーションに関してそんなに重要性は感じられないと思っている職員さんもいると思います。
大勢の前で体操をしたり、歌を歌ったりするのは正直恥ずかしいです!私もそうでした。
しかし介護の知識を得ていくとレクリエーションの重要性というものが分かってきてから不思議なことに恥ずかしいという感情は薄れていきました!レクリエーションを行う意味を理解するという事は非常に大事な事だと実感しました。
レクリエーション介護士という資格も存在するほど、介護が必要な利用者にとってはレクリエーションを行うと良いことがたくさんあるのです。
今回は介護におけるレクリエーションの必要性、目的などについて解説していきます。
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レクリエーションの必要性
介護士にとって、レクリエーション活動は重要な役割を果たします。
利用者の身体的・精神的・社会的な健康をサポートするための重要な手段であり、QOLの向上を目指す上で欠かせない要素です。
目的
- リハビリテーションの補完
楽しい活動を通じて、無意識のうちに身体機能の維持・改善を図ることができます。レクリエーションは、通常のリハビリに比べて自然に体を動かす機会を増やすため、利用者にとって負担が少ないです。 - 認知機能の維持・向上
脳を使うゲームやパズル、クイズなどを通して、認知機能の維持や向上を促します。特に、認知症予防に効果的です。 - 感情表現の促進
アートや音楽、ダンスなど、感情を表現する機会を提供することで、心の開放感を得るとともに、感情の健康を保つことができます。 - 自己肯定感の向上
成功体験や楽しさを感じることで、自分に自信を持つことができ、自己肯定感を高めます。特に、達成感を得られる活動は利用者にとって重要です。
レクリエーションは利用者と職員が一緒に行うので一体感も生まれ、利用者との距離が近づくきっかけにもなりますよ!
レクリエーションの種類
レクリエーションには様々な種類があり目的によって使い分けます。
手軽にできるものから事前に準備をして行う規模の大きいものもあります。
介護の現場でどのようなレクリエーションが行われているのか紹介します。
身体を動かすレクリエーション:
- 健康体操:職員が前に出て体操を行います。体操の種類はいろいろあります。
- 棒を持って座ってできる棒体操。
- みんなご存知のラジオ体操。
- タオルを持って体を動かすタオル体操。
- 脳トレの要素もある指体操。
- 音楽をかけてリズムに乗って体操をするダンス
他にも最近では介護体操のDVDもあり、You Tubeにもたくさん体操の動画が上がっておりそれをテレビで流して体操を行う事もあります。以前に紹介した記事もありますのでそちらもご覧下さい。
- ボール遊び
- 柔らかいボールや風船など軽いボールを使ってキャッチボールやパスをすることで、手足の動作を促し、反応速度の向上や協調性を育てます。利用者さんたちで円を作ってボールを蹴ったり投げたりころがしたりします。
身体を使ったレクリエーションは利用者さんが転倒や怪我をしないように見守りを強化しながら行う必要があります。他にも職員が前に出て率先して動くことが多いのでレクリエーションが苦手な職員からすると慣れるまでしんどいかもしれません。
脳トレ
利用者の認知機能を活性化させ、脳の健康を促す活動です。
- パズルやクイズ
簡単なパズルやクロスワード、数字合わせなど、脳を使うゲームを通じて、認知機能の維持を目指します。クイズは「都道府県の名前を3つ言いましょう」「『あ』で始まる食べ物を言いましょう」など簡単な問題で大丈夫です。正解かどうかよりも考えることと楽しむ事が重要ですので職員がヒントを出しながらみんなで楽しみましょう。 - カルタやトランプ
カードゲームや伝統的な遊びを使って、集中力や記憶力を鍛えることができます。神経衰弱、ババ抜きなどが主流です。お正月はカルタをして季節を感じていただきます。 - 手作りクラフト
折り紙や手芸など、手を動かしながら創作活動を行うことで、手先の器用さとともに創造力や集中力も高めます。介護施設の中のカレンダーやポスターは利用者さんがレクリエーションで作ったものを飾ってあることが多いです。
感覚を楽しむレクリエーション
視覚、聴覚、触覚などの感覚を使い、リラックスや楽しさを提供する活動です。
- 音楽療法
音楽を聴いたり、一緒に歌を歌ったりすることで、心を癒し、感情表現を促します。特に、懐かしい曲は記憶を刺激する効果もあります。リンゴの歌や青い山脈などが定番でこれをきっかけに職員も昔の歌を覚えれます。 - 絵画やアートセラピー
色を使って自由に描くことで、感情表現や創造性を引き出し、リラックスや満足感を得られます。塗り絵や模写などをします。 - 触覚を使った活動(アロマセラピーや手浴など)
アロマオイルを使ったリラックス効果や、温かい水で手を浸す手浴など、触覚を通じて安らぎを感じさせます。
年間行事
普段行うレクリエーションとは違い年間行事として介護施設が計画している大きなレクリエーションもあります。年間行事する目的は四季折々の風物詩を取り入れ、季節の移り変わりを感じられるようにします。特に施設にいる利用者は、外出する機会が限られることが多いため、季節感を味わうことが精神的な刺激や心の潤いにつながります。
- 誕生日会 毎月
- お花見
- 夏祭り、花火
- 敬老の日
- 運動会
- 紅葉狩り
- クリスマス会(ビンゴ、すごろく、輪投げなど、複数の利用者が一緒に楽しめるゲームをしてコミュニケーションの促進を促します。最後には職員からのプレゼントも渡します。)
- お正月(おせちが出たり、書き初め、カルタなどを楽しみます)
年間行事は、普段の単調な生活にアクセントを加え、特別な体験を提供します。行事の準備や参加を通じて、利用者に楽しみや期待感を持たせ、日常の生活に変化と充実感を与えます。
他にも行事を通じて、利用者同士や介護士、さらには外部から参加する家族やボランティアとの交流が深まります。共同で活動することでコミュニケーションの機会が増え、社会的なつながりや連帯感を感じることができます。
回想法の促進にもつながる
行事の中には、過去の経験や記憶を呼び起こすようなものも多くあります。例えば、昔ながらの行事や懐かしい音楽を取り入れることで、利用者が自分の過去を思い出し、回想する機会を提供します。これは、特に認知症の方に有効なリハビリ手法です。
- 例: 昭和時代の音楽を使ったイベントや、昔ながらの伝統的な遊びを行うお正月のイベント
文化的伝統の継承
年間行事レクリエーションは、日本の文化や伝統を守り、次世代に伝える役割も果たします。伝統的な行事に参加することで、利用者は自分たちの文化に触れ、その価値を再認識する機会を得られます。
- 例: お正月の餅つき大会、七夕の短冊書き、敬老の日のお祝い
家族や地域とのつながり強化
施設内の行事に家族や地域の方々を招くことで、家族や地域社会とのつながりを強化することができます。これにより、利用者の社会的な役割や存在感を再確認し、孤立感の解消にもつながります。
- 例: 敬老会や夏祭りでの家族参加、地域の子どもたちと交流するクリスマスイベント
年間行事の準備もレクリエーションの一つ!
年間行事は参加する事だけでなく準備する事も重要です!認知機能や身体機能を自然な形で使う機会を提供します。
例えば、行事に関連する手作りの飾りを作ったり、歌や踊りの練習をしたりすることで、脳の刺激や体の運動を促すことができます。
- 例: 夏祭りでの盆踊り、運動会での簡単な競技、クリスマスツリーの飾り付け
レクリエーション介護士の資格
レクリエーション介護士の資格は、高齢者や障がい者向けの介護施設やデイサービスなどで、利用者が楽しみながら身体機能や認知機能を維持・向上させるためのレクリエーションを提供するスキルを持つことを証明する資格です。この資格を持つことで、介護の現場で効果的なレクリエーションを企画・実施することができ、利用者の生活の質(QOL)を高める役割を果たします。
資格の特徴と目的
- 高齢者や障がい者に特化したレクリエーションを学ぶ
レクリエーション介護士の資格では、介護の現場で活用できるさまざまなレクリエーション活動を学びます。具体的には、身体的・認知的なリハビリ効果のあるゲームや運動、創作活動など、楽しみながら健康を促進する方法を習得します。 - 介護職の付加価値を高める
この資格は、介護職の専門性を広げ、日常の介護業務に加えてレクリエーションを活用することで、利用者の心身の健康維持に貢献します。特に介護現場では、日々のケアに加えて、利用者が楽しめる時間や活動を提供することが求められています。 - 未経験者や初心者でも取得しやすい
介護経験の有無にかかわらず、誰でも取得を目指せる資格です。介護職に就いている人だけでなく、ボランティアや家族介護者、レクリエーションを企画したい方にも役立つ内容となっています。
レクリエーション介護士資格の種類
レクリエーション介護士の資格には、段階的なレベルがあります。
- レクリエーション介護士2級
- 取得のハードルが低い:未経験者や初心者が取得しやすい初級レベルの資格です。短期間での学習で取得可能。
- 主な内容:レクリエーションの基礎知識、高齢者の特徴に合わせたレクリエーションの企画・実施方法を学びます。
- 取得方法:通信講座やスクーリングで学習ができ、カリキュラムを修了すれば資格が得られます。
- レクリエーション介護士1級
- より高度な知識と技術:1級では、2級で学んだ基礎を踏まえ、より実践的なスキルやリーダーシップを学びます。施設でのレクリエーションの運営やチームを率いる役割を担うための知識も得られます。
- 資格取得の条件:2級を取得した後、一定の実務経験を積むことが必要です。また、1級講座を受講し、試験に合格することで資格を取得できます。
資格取得のメリット
- 介護現場での評価が高まる
レクリエーション介護士の資格を持つことで、利用者の満足度を高める活動が提供できるため、介護施設や職場での評価が向上します。また、レクリエーションの企画・運営に関わる仕事の幅が広がります。 - 利用者とのコミュニケーション向上
レクリエーションを通じて利用者とより良いコミュニケーションを図ることができ、信頼関係を築きやすくなります。楽しい活動を通じて、利用者がリラックスし、介護者に対してもよりポジティブな感情を抱くことが多くなります。 - 介護予防や認知症ケアに役立つ
高齢者の介護予防や認知症予防に効果的なレクリエーションの知識とスキルを身につけることで、利用者の健康維持や症状進行の遅延に貢献できます。 - 介護職以外の場でも活用できる
家族介護者や地域のボランティア活動でも、レクリエーションの知識は活かすことができます。地域の高齢者サロンや福祉イベントでのレクリエーションの企画・運営にも役立つ資格です。
レクリエーション介護士についてのまとめ
レクリエーション介護士の資格は、介護の現場において利用者の生活の質を高めるために、楽しみながら心身の健康をサポートするためのスキルを身につけるための資格です。資格を取得することで、利用者とのコミュニケーションが深まり、介護サービスの質を向上させることが期待されます。また、介護業界以外でも、レクリエーションを通じて高齢者や障がい者の支援を行いたい方にも役立つ資格です。
レクリエーションが苦手な介護士さんへ
レクリエーションが苦手な介護士さんにとって、それを克服し、楽しみながらレクリエーションを提供できるようになるためのポイントや対策を紹介します。人前や注目されるのが苦手な人にとってはレクリエーションは苦痛ですよね?しかしレクリエーションも業務の一環なので回避してばかりではいけません。私も最初はレクリエーションが大の苦手で慣れるまで時間がかかりました。
こちらが苦手意識を克服するための具体的な方法です。
小さな一歩から始める
レクリエーションが苦手だと感じる場合、いきなり大規模なイベントや複雑な活動を企画するのはプレッシャーになります。まずは、簡単なものから始めることが大切です。
- 例: 短時間でできる簡単なゲームやストレッチ、歌を歌うなどの短いレクリエーションから始め、少しずつ慣れていきます。成功体験を積むことで自信がつき、次第に大きなレクリエーションにも取り組めるようになります。
他の介護士や同僚と協力する
レクリエーションを一人で企画・実施するのは負担が大きいですが、他の介護士や同僚とチームを組むことで負担を分散させられます。お互いにアイデアを出し合い、協力しながら実施することで、自分が苦手な部分を補えることが多いです。
- 例: レクリエーションが得意なスタッフにサポートを頼んだり、アイデアを共有してもらうことで、自分だけで準備する負担を軽減します。
利用者の声を活かす
レクリエーションの企画が難しいと感じる場合、利用者自身が何を楽しみたいかを尋ねてみるのも有効です。利用者の興味や関心を取り入れることで、自然に参加意欲が高まり、介護士にとっても進行がスムーズになります。
- 例: 「どんな歌を一緒に歌いたいですか?」や「好きなゲームや遊びはありますか?」といった質問を利用者にして、レクリエーション内容を決める参考にします。
完璧を目指さない
レクリエーションに対して「うまくやらなければならない」というプレッシャーを感じると、苦手意識が強まります。完璧に進行することを目指すのではなく、利用者が少しでも楽しめることを目標にする方が重要です。
- 例: 利用者が笑顔を見せたり、会話が弾んだりすることを評価し、自分が楽しめる範囲で進めるようにします。
利用者の反応に注目する
レクリエーション中に利用者が楽しんでいるか、集中しているか、リラックスしているかなど、利用者の反応に目を向けることが大切です。利用者が楽しんでいる姿を見ることで、自分自身のモチベーションも高まり、レクリエーションへの苦手意識が和らぐことがあります。
- 例: 笑顔や集中する姿勢、楽しんでいる声など、小さな反応に目を向けて、その反応を受け取ることで、自分の取り組みに対する達成感を得ます。
自分自身も楽しむことを目指す
レクリエーションは利用者だけでなく、介護士自身も楽しめる活動であるべきです。自分が楽しんでいる姿を見せることで、利用者も安心して参加しやすくなります。無理をせず、自分が興味を持てる活動や、得意分野を活かしたレクリエーションを企画することも大切です。
- 例: 自分が得意な趣味や活動(手芸、音楽、スポーツなど)をレクリエーションに活かしてみる。
まとめ
今回の記事で紹介した介護士のレクリエーションにおける重要なポイントをまとめました。
- 利用者のニーズと興味を把握:個々の利用者の趣味や関心を理解し、それに合わせた活動を企画する。
- 安全性の確保:事故や怪我を防ぐために、事前にリスクを評価し、安全対策を徹底する。
- コミュニケーションの促進:利用者同士やスタッフとの交流を深め、社会的なつながりを強化する。
- 身体機能の維持・向上:適度な運動やリハビリ要素を取り入れ、健康増進を図る。
- 認知機能の刺激:ゲームやクイズなどを通じて、認知能力の維持・向上をサポートする。
- 季節感や文化を取り入れる:季節のイベントや伝統行事を活用し、日々の生活に変化をもたらす。
- 職員の連携:チームワークを重視し、円滑な運営を目指す。そして何より職員もレクリエーションを楽しむ事が大事。
- 苦手意識の克服:レクリエーションに苦手意識のある人はレクリエーションの必要性を理解し、できる事から一歩ずつやっていきましょう。無理をすることは良くないので他の職員と協力し自分のペースで構いません。
以上のポイントを踏まえ、利用者にとって楽しく有意義なレクリエーションを提供することが重要です。
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