介護士といえば低賃金といったイメージを持つ人も多いでしょう。
正にそうです。高いとは言えません。実際私の給料も同世代の収入と比較すると安いです。
給与が低いとやる気も起きませんよね?
なぜなら給与は労働者のモチベーションを保つためには大切な原動力だからです。
しかし介護士も給与を上げる手段はあります!
そのためにはまず介護士の給与は他の業種と比較するとどれくらい安いのか?介護士の給与の財源は何なのか?などについて理解することが必要です。
今回は介護士の給料について詳しく解説していきます。
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正社員介護士の平均収入
「賃金構造基本統計調査」によれば、正社員の介護職の収入とサラリーマンの収入を比較したものです。
介護士 | サラリーマン | |
年収 | 約300万円から350万円程度 | 約443万円 |
月収 | 約20万円から25万円程度 | 約36.9万円 |
サラリーマンの平均と比較すると非常に安いことが分かります。
この数値には基本給のほか、賞与や各種手当も含まれます。ただし、地域や施設の種類、経験年数によっても給与水準は大きく異なるため、一概には言えません。
ちなみに介護士の基本給は20万円前後とされています。
基本給には夜勤手当や資格手当、残業手当、ボーナスなどの各種手当は含まれていない金額のことを言います。
※この数値は全ての正社員介護士の平均したものです。
介護士の給与の財源は?
介護士の給与が低いとされる背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
まずは介護士の給与の財源について理解しましょう。
1. 介護保険制度による給付金
- 介護保険制度:日本では、40歳以上の国民が加入する公的な介護保険制度があります。これは高齢者の介護サービスを支えるための社会保険制度です。
- サービス報酬:介護事業者は、提供したサービスに応じて介護保険から報酬を受け取ります。この報酬が介護士の給与の主な財源となります。
- 自己負担額:利用者は原則としてサービス費用の1割から3割を自己負担し、残りは介護保険から給付されます。
2. 利用者からの自己負担金
- 自己負担金:介護サービスを利用する方やその家族が直接支払う費用です。これは介護サービスの総費用の一部をカバーします。
- 収入源の一部:この自己負担金も介護事業者の収入となり、介護士の給与に充てられます。
3. 国や自治体からの補助金・助成金
- 運営補助:一部の介護施設や事業者は、国や地方自治体からの補助金や助成金を受け取ります。
- 人材確保・待遇改善:これらの資金は、介護士の処遇改善や人材育成、施設の運営費などに使われます。
- 介護士の給与は、介護保険からの給付金と利用者の自己負担金を主な財源とする介護事業者の収入から支払われます。
- また、国や自治体からの補助金も介護士の給与や職場環境の改善に寄与しています。
- これらの財源は、介護サービスの提供と質の向上、そして介護士の処遇改善を支える重要な要素です。
手当の種類
冒頭でもお話しした通り介護士は基本給がとても低くいので手当が多く付きます。手当の種類について解説していきます。
1. 夜勤手当
夜間のシフトに従事する場合に支給される手当です。不規則な勤務時間や生活リズムへの影響を考慮し、労働者の負担を軽減ことを目的として支給されています。夜勤手当の金額は事業所によって様々です。「夜勤1回あたり〇〇円」といった形で支給されています。
例えば、夜勤一回あたり8000円とすると、月に5回夜勤をすると40000円の夜勤手当が付きます!
結構大きいですね。夜勤手当は介護士にとってはとても重要な手当です。ですから介護士の中にはしんどいけど夜勤を多く入れてほしいと懇願する方もいるくらいです。
2. 資格手当
介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネージャー)などの資格を保有している場合に支給されます。専門的な知識・技能を持つ人材を評価し、モチベーションを高めるためを目的として支給されています。
しかし注意する点はケアマネージャーの資格を所得していてもケアマネージャーの業務につかず現場の介護士として業務をしている場合は資格手当は付きません!
3. 通勤手当
職場までの交通費を補助する手当です。通勤にかかる経済的負担を軽減するために支給されています。
4. 残業手当
法定労働時間を超えて働いた場合に支時間外労働に対する正当な報酬を提供するために支給されます。
5. 住宅手当
- 概要:自宅から遠く離れた勤務地で働く場合や、家賃の一部を補助する手当です。
- 目的:居住費用の負担を軽減し、安定した生活を支援するため。
6. 家族手当
扶養家族がいる場合に支給される手当です。家族を養う労働者の経済的負担を軽減するため。
7. 処遇改善手当
国の介護職員処遇改善加算に基づき支給される手当です。
介護職員の賃金改善を図り、人材確保と定着を促進するためを目的として支給されます。
毎月給与に少額ずつ含まれている会社もあれば、賞与支給の時に支払われる会社など会社によって様々です。
8. 特殊勤務手当
特別な労働条件下で働く介護士を支援するために、重度の要介護者や感染症リスクのある利用者のケアに従事する場合に支給されます。
9. 年末年始手当
年末年始や祝日に勤務した場合に支給される手当です。休日に勤務する労働者の負担を考慮し、適切な報酬を提供するため少額ですが支給されます。介護の仕事は年末年始も決まった休みが無い会社がほとんどです。家庭を持つ職員はその時期家族と過ごしたいと年末年始は休み希望が多く集まります。
そんな時に年末年始手当目的で出勤してくれる職員もいます。
10. 勤続手当
長期的な勤務を奨励し、職員の定着を促進するために一定期間以上勤務した場合に支給される手当です。
以上の手当と基本給を含めて介護士の月給が確定します。
給与が高い介護施設を選ぶ時のポイント
冒頭で紹介した介護士の平均年収ですが全体の平均なので中には平均より高い会社もあれば安い会社も含まれています。その中で平均より高い介護施設を選ぶ時に必要な事を解説します。
1. 施設の種類を確認する
- 特別養護老人ホーム(特養):
- 介護度の高い利用者が多く、夜勤や専門的なケアが必要。
- 給与水準が高い傾向があります。
- 介護老人保健施設(老健):
- 医療的ケアやリハビリテーションに重点を置く。
- 医療スタッフとの連携が必要で、給与が比較的高い場合があります。
※特養と老健は介護サービスの中でも給与は全体的に高い傾向にあります。
- 有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅:
- 民間企業が運営しており、サービスの質に応じて給与が高めに設定されることがあります。
2. 運営法人の規模や経営状況を確認する
- 大手法人・企業運営:
- 資本力があり、給与や福利厚生が充実している可能性があります。
- 経営が安定しており、昇給や賞与が期待できる。
- 社会福祉法人・医療法人:
- 公的支援があるため、給与や労働条件が安定している場合があります。
社会福祉法人、医療法人経営の場合賞与が高く設定されていることが多いです。
3. 地域差を考慮する
- 都市部 vs 地方:
- 都市部は物価が高いため、給与水準も高い傾向にあります。
- 人材不足が深刻な地域では、給与を高く設定している場合があります。
4. 夜勤やシフト体制を確認する
- 夜勤の有無と回数:
- 夜勤手当が支給されるため、夜勤回数が多いと給与が高くなります。
- ただし、生活リズムや体調管理も重要です。
夜勤の回数は大体4〜6回程。当たり前のように毎月7回、8回行われている場合多いと思って下さい。
多いとお金は稼げますが、体力的にしんどいです!
- シフトの柔軟性:
- シフトが過密でないか、休暇が取りやすいかを確認。
5. 資格手当や各種手当を確認する
- 資格手当の充実度:
- 介護福祉士、ケアマネージャーなどの資格に対する手当が高い施設を選ぶ。
- 処遇改善加算の活用状況:
- 国の「介護職員処遇改善加算」を適切に職員へ還元しているか。
6. 昇給・賞与制度の有無
- 定期昇給の有無:
- 長期的なキャリアを考える上で重要。
- 賞与(ボーナス)の支給状況:
- 年間給与に大きく影響します。
- この二つは仕事へのモチベーションにも大きく関わります!
7. 福利厚生の充実度
- 各種保険・年金制度:
- 健康保険、厚生年金、労災保険などが完備されているか。
- 休暇制度:
- 有給休暇、産休・育休の取得実績。
- 研修・教育制度:
- スキルアップが給与アップにつながる場合があります。
8. 職場の評判や口コミを調べる
- 離職率:
- 離職率が低い施設は、労働環境や待遇が良い可能性が高い。
- 職員の声:
- インターネットの口コミサイトや知人から情報を収集。
- 介護転職サイトに登録すると気になる職場の内部からの口コミを確認することができます。
9. 労働条件の詳細を確認する
- 労働契約書・就業規則の確認:
- 給与体系、手当、労働時間、休日などを詳細に確認。
- 残業の有無と残業代の支給:
- サービス残業がないか、残業代が適切に支払われているか。
10. 面接時に直接質問する
- 給与交渉:
- 面接時に給与や手当について具体的に質問し、自分の希望を伝える。
- 職場見学の依頼:
- 実際の職場環境や雰囲気を確認。
給料が高い介護施設を選ぶためのポイントまとめ
給料が高い介護施設を選ぶためには、施設の種類や運営法人の規模、地域差、手当の充実度など、多角的な視点で情報を集めることが重要です。給与面だけでなく、労働環境や福利厚生、キャリアアップの可能性も考慮し、自分に合った職場を見つけましょう。
今よりももっと稼ぎたい介護士さんに出来ること。
- 今より待遇の良い会社に転職する
- :先ほど給与が高い介護施設を選ぶ時のポイントで紹介しましたが施設形態や、経営元によって給与が上がる事もあります。常に情報収集し今よりも条件が良い求人があればすぐに転職できるようにしておきましょう。
- 副業する
- :今は副業の種類も多くあります。ブログ、YouTubeなどで副収入を得ている介護士さんも多数いらっしゃるでしょう。雇用形態がパートや派遣であればWワークも可能なので空いた時間で他の仕事をするのもありですね。
まとめ
今回介護職の給料事情について解説しました。やはり介護士の給料は改善されつつはありますがまだまだ安いです。今後も待遇は改善されていく見込みはありますが具体的にどうなるかは全然読めません。
業務内容のしんどさと給与が割に合わないという理由で退職していく人が多い介護業界ですが、
給料が安いと嘆くだけでは現状は変わりません。
資格取得やもっと良い条件の会社に転職するなど今できることはあります。
資格を取得していくとキャリアアップできるチャンスはきます!
給与は労働者のモチベーションを保つためには大切な原動力です。
給与に不満を抱えたまま仕事を続けていてもパフォーマンスは上がらないので環境を変えてみるのも一つの手段だと思います。
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