高齢化社会が進む中、介護の現場では多くの人材が求められています。そんな中、介護士としての第一歩を踏み出すための鍵となるのが『介護士初任者研修』です。本記事では、この研修の内容や魅力について詳しくご紹介します。
介護職員初任者研修とは
介護職員初任者研修は、介護業界への入り口となる基礎的な資格です。以前の「ホームヘルパー2級」に相当し、介護の基本的な知識や技術を学ぶことができます。この資格を取得することで、訪問介護や施設介護など、介護現場での業務に従事することが可能になります。
カリキュラムと内容
初任者研修のカリキュラムは、厚生労働省が定めた130時間の研修で構成されています。主な内容は以下のとおりです。
- 科目1: 職務の理解(6時間)
- 介護職の役割と職業倫理
- 介護保険制度の理解
- 科目2: 介護における尊厳の保持・自立支援(9時間)
- 利用者の人権と尊厳
- 自立支援の理念
- 科目3: 介護の基本(6時間)
- 介護の基本的な考え方
- コミュニケーション技術
- 科目4: コミュニケーション技術(6時間)
- 傾聴技術
- 非言語コミュニケーション
- 科目5: 老化の理解(6時間)
- 老化のメカニズム
- 高齢者の心理と行動
- 科目6: 認知症の理解(6時間)
- 認知症の種類と症状
- 認知症ケアの基本
- 科目7: 障害の理解(3時間)
- 身体障害、知的障害、精神障害の理解
- 科目8: こころとからだのしくみと生活支援技術(75時間)
- 基本的な介護技術(移動、食事、排泄、入浴等)
- 緊急時の対応
- 科目9: 振り返り(4.5時間)
- 学習内容の総まとめ
- 自己評価と今後の課題
受講費用
受講費用は、実施機関や地域によって異なりますが、一般的には5万円から15万円程度が相場です。また、キャンペーンや割引制度を設けているスクールもあります。自治体によっては、受講料の一部を補助する制度もあるため、事前に確認することをお勧めします。
受講方法
- 通学コース: 実際にスクールに通い、講義や実技演習を受けます。週末や夜間のコースもあり、働きながらでも受講可能です。
- 通信コース: 自宅学習とスクーリング(一定期間の通学)を組み合わせた形式です。自分のペースで学習できますが、実技科目は必ず通学が必要です。
資格取得までの流れ
- 受講申し込み: 希望するスクールや養成機関に申し込みます。
- 研修の受講: カリキュラムに沿って講義と実技を受講します。
- 修了評価: 最終的な筆記試験や実技評価があります。
- 修了証の取得: すべての課程を修了し、評価に合格すると修了証が発行されます。
研修のメリット
- 基礎的な介護技術と知識が身につく
- 就職活動に有利
- キャリアアップの第一歩となる
その他の情報
- 受講条件: 年齢や学歴の制限は基本的にありません。
- 就職支援: 多くのスクールでは、就職相談や求人情報の提供など、サポート体制が整っています。
介護士初任者研修の内容のまとめ
介護職員初任者研修は、介護の現場で働くための第一歩として重要な資格です。カリキュラムは実践的な内容が多く、現場で即戦力として活躍するための基礎を築くことができます。受講費用やスケジュールなどを比較し、自分に合った研修機関を選ぶことが大切です。
実務者研修との違いについて
介護士初任者研修と介護士福祉士実務者研修というものもあります。
どちらも共通する部分としては
受講条件に特定の資格を持っている必要はなく、無資格の人でも受講は可能です。
それなら実務者研修を受けた方がいいじゃん!
そんな声が聞こえてきました。
そこで初任者研修と実務者研修の違いを比較してみましょう。
介護職員初任者研修と実務者研修のどちらを受講すべきか迷われているのですね。以下に、それぞれの研修の特徴と選択のポイントを詳しくご説明いたします。
1. 介護職員初任者研修
先ほど説明した内容と重複しますがこちらは初任者研修の受講の目的と内容です。
- 概要: 介護の基礎的な知識と技術を学ぶための研修です。未経験者やこれから介護業界に入る方に適しています。以前の「ホームヘルパー2級」に相当します。
- 受講時間: 130時間
- 主な内容:
- 介護の基本理念
- 基本的な介護技術(移動・食事・排泄・入浴など)
- コミュニケーション技術
- 高齢者や障害者の理解
- メリット:
- 介護の基礎をしっかり学べる
- 未経験でも受講可能
- 就職先の幅が広がる
2. 実務者研修
- 概要: 介護の専門的な知識と技術を深めるための研修です。介護福祉士の国家試験を受験する際に必須となります。
- 受講時間: 450時間(初任者研修修了者は一部科目が免除され、320時間程度になります)
- 主な内容:
- 医療的ケア(喀痰吸引等)
- サービス提供責任者の役割
- 認知症ケアの深化
- チームケアとリーダーシップ
- メリット:
- サービス提供責任者として働ける
- 介護福祉士国家試験の受験資格を得られる
- 専門性を高め、キャリアアップにつながる
内容を見て分かる通り、実務者研修は医療的ケアやサービス提供責任者の役割など介護職の応用編です。
私も実務者研修は受講しましたが、基礎的な事については詳しくは教えてくれません。ケアプランの作成や経管栄養の実技についてがメインですので、全くの未経験の方が全て理解するのは難しいかもしれません。
3. 選択のポイント
- 介護未経験または基礎から学びたい場合:
- 初任者研修がおすすめです。基礎知識と技術を身につけ、介護の現場で自信を持って働けるようになります。移乗やオムツ交換、着脱など基本的な内容や技術を確実に習得できます、
- 既に介護現場で働いており、キャリアアップを目指す場合:
- 実務者研修を受講することで、専門性を高められます。介護福祉士を目指す方にも必須の研修です。実務者研修の内
- 将来的に介護福祉士を目指す場合:
- 初任者研修を飛ばして、直接実務者研修を受講することも可能です。ただし、内容が高度になるため、先ほども申しましたが、基礎知識がないと難しく感じることもあります。
- 時間と費用の面:
- 初任者研修: 費用は約5万~15万円、期間は1~3ヶ月程度。
- 実務者研修: 費用は約15万~25万円、期間は4~6ヶ月程度。
- 予算やスケジュールに合わせて検討してください。
- 費用や期間も実務者研修の方が高く期間も長いのでとりあえず基礎知識を早くつけたいのであれば初任者研修の方がおすすめです。
実務者研修についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
結論
- 介護業界が初めての方: 初任者研修から始めることで、無理なく学習を進められます。
- キャリアアップや資格取得を急ぎたい方: 実務者研修を受講すると、早く次のステップに進めます。
- 基礎から応用まで一気に学びたい方: 時間と費用に余裕があれば、最初から実務者研修を選ぶのも一つの方法です。
ご自身の目標や現在の状況に合わせて、最適な研修を選択されることをおすすめします。
介護福祉士までの道のり
新人介護士が介護福祉士試験に合格するまでの一般的な流れをご説明します。
- 1.介護職員初任者研修の修了:まず、介護の基本的な知識と技術を学ぶために、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)を修了します。初任者研修で基礎的な介護技術を習得し、介護現場での業務に必要なスキルを身につけます。
- 2.介護現場での実務経験:介護施設や在宅介護サービスなどで、直接利用者の介護業務に従事します。介護福祉士試験を受験するためには、3年以上(従業日数540日以上)の実務経験が必要です。そのために日々業務に取り組んで下さい!(※実務経験は、正社員だけでなく、契約社員やパートタイムでも認められますが、従業日数の計算方法に注意が必要です。)
- 3.実務者研修の修了:実務経験を積みながら、または実務経験終了後に受講します。受講には数ヶ月かかるため、計画的に進めることが重要です。より専門的な介護技術、医療的ケア(喀痰吸引等)の知識と技術、サービス提供責任者としての役割を担うためのスキルなどを習得しよりプロフェッショナルに近づきましょう。
- 実務者研修は、介護福祉士国家試験の受験資格として必須の研修です。これで介護福祉士試験への準備は整いましたね!
- 4. 介護福祉士国家試験の受験申し込み
ようやく試験へ申し込みをします。
- 申請期間: 毎年、試験の約4~5ヶ月前に受験申し込みが開始されます(通常、8~9月頃)。
- 必要書類:
- 実務経験証明書(勤務先から発行)
- 実務者研修修了証明書
- その他、指定の申請書類
5. 試験対策と勉強
- 試験範囲: 人間の尊厳と自立、介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解、医療的ケアなど。
- 勉強方法:
- 市販の過去問題集や参考書を活用
- 試験対策講座や模擬試験を受講
- 同僚や仲間と勉強会を開催
こちらの記事も参考にして下さい。私が実際にしていた勉強法です!
6. 介護福祉士国家試験の受験
いよいよこの時が来ました。長かったですね。これまでたくさんの研修を受けて、辛い業務を毎日頑張って来ました。あとは今までの経験で得たものをぶつけるだけです!
- 試験日: 毎年1月下旬に筆記試験が行われます。実技試験は3月に行われますが、筆記試験で一定の得点を取ると実技試験が免除されることがあります(実務者研修修了者は実技試験が免除)。
- 試験形式:
- 筆記試験: マークシート方式
- 実技試験: 介護技術の実演(実務者研修修了者は免除)
7. 合格発表と登録手続き
無事合格した未来のあなた。おめでとうございます。介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格であり、専門的な知識と技術を持つプロフェッショナルとして認められます。これからは役職についたり新人介護士の育成など現場を引っ張っていく存在になるでしょう!
- 合格発表: 3月下旬に合格発表があります。
- 登録手続き:
- 合格者は、介護福祉士登録のための手続きを行います。
- 登録料の支払いと必要書類の提出が必要です。
- 資格取得: 登録が完了すると、正式に介護福祉士として認定されます。
最後に
今回は介護士初任者研修について紹介しました。実務者研修との違いや介護福祉士試験までのやるべき事についても説明しました。
今回の記事では介護福祉士合格をゴール地点に設定して話をしていましたが、介護福祉士合格は一つの目標でありゴールではありません!
介護福祉士合格後にケアマネージャー、生活相談員、独立して経営者になるなど様々な未来の形があります。介護士は年齢関係なくキャリアアップできます。これからも常に目標を持って仕事や勉強に励んで下さい!
筆者の私も今介護職をしているのは目標があるからです!それに向かってお互いに日々頑張りましょう!
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