介護職は離職率が高く、現在どの職場でも人手不足で悩まされています。
私も介護職をしていると嫌になる時はよくあります。やりがいのある仕事なのでモチベーションは保てていますが、嫌なことが立て続けに起こると誰だって辞めたくなってきます。
業務内容も体力的にキツいので将来の事を考えて辞めていく若い人たちもたくさんいました。
今回は介護職の離職理由で多いもの、退職者が出ると人手不足になってしまうのでそれを改善するために会社側、現場の職員が対策できることについて解説します。
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介護士の離職率推移
近年人手不足が深刻化しているためどこの会社、法人でも離職率を下げるために対策をとっています。
それを踏まえてこちらのグラフをご覧下さい。
年度 | 離職率 (%) |
2010 | 16.5 |
2012 | 17 |
2014 | 16.5 |
2016 | 15.1 |
2018 | 14.9 |
2020 | 14.7 |
2022 | 15 |
対策もあって離職率は減少してきていますがまだ多いと言えます!
ちなみに最新の2024年の離職率は3月時点で14.6%です。
全産業の離職率は平均14%〜15%ですから徐々に縮まってはきていますね!
小さなことから改善していくと会社の環境、職員の負担などが良い方向に変化していきます。
まずは介護士の離職理由で多いものとその対策方法を見ていきましょう!
人間関係
介護職の離職理由として人間関係が多いのは、いくつかの理由があります。
1. 職場のコミュニケーション不足
介護の現場は、チームワークが非常に重要です。しかし、忙しさや職場の人数不足から、円滑なコミュニケーションが取れず、ミスやトラブルが発生することがあります。これがストレスとなり、人間関係の摩擦を引き起こします。
2. 役割分担の不均衡
介護の現場では、仕事の負担が一部の人に集中することがあります。特定のスタッフが過度に責任を負わされる場合、他のスタッフとの関係が悪化しやすくなります。
3. 価値観の違い
介護の仕事に対する姿勢や価値観の違いから、同僚間や上司との対立が生じることもあります。例えば、利用者への接し方や仕事の優先順位に関して意見が対立することがあります。
4. 上司やリーダーの指導力不足
管理者やリーダーが適切な指導やサポートを提供できない場合、スタッフ間の摩擦が解消されず、ストレスが蓄積します。問題解決の手段が見つからないことで、退職を考える人が増える原因にもなります。
対策
- 定期的なミーティングの実施 チーム間でのコミュニケーションを促進するため、定期的なミーティングを行い、情報共有やフィードバックの場を設けることで、問題点や不満を早期に解消できます。
- スタッフ間のサポート体制の強化 一人のスタッフに過度な負担がかからないように、仕事の分担を見直し、サポート体制を強化することが重要です。定期的なシフト調整や業務内容の見直しも効果的です。
- 相談窓口や外部カウンセリングの導入 人間関係の悩みは個人的な問題にも絡むことがあるため、社内に相談窓口を設けたり、外部のカウンセリングサービスを導入することで、スタッフが気軽に悩みを共有できる環境を整えることが大切です。
- リーダーシップの強化 管理者やリーダーが適切なリーダーシップを発揮できるよう、トレーニングや研修を実施することが効果的です。職場環境の改善やスタッフのモチベーションを高めるためのスキルを向上させることが、長期的な人間関係の改善につながります。
人間関係は介護職に限らず多くの職場での課題ですが、特に介護の現場では対人関係の重要性が高いため、意識的な改善が必要です。
低賃金
介護職で退職理由として「収入面」が多い理由には、以下のような要因があります。また、その対策についても考えてみましょう。
1. 低賃金の構造的問題
介護職は、他の業種と比較しても賃金が低い傾向にあります。介護業界は、国の財政支援(介護保険制度)に依存している部分が大きく、施設が収入を増やすには限界があります。これにより、賃金水準が抑えられることが多いのです。また、介護業務のハードな仕事内容に対して、給与がそれに見合わないと感じる職員が多いことが、退職理由として挙げられます。
2. 昇給やキャリアパスの不足
介護職には、明確なキャリアパスや昇給システムが不十分な職場が多いです。働き続けても給与がほとんど変わらないと感じると、モチベーションが低下し、転職を検討する原因となります。
3. 仕事量と収入のバランス
介護職は、身体的・精神的な負担が大きいにもかかわらず、それに見合った報酬を得られていないと感じる職員が多いです。特に人手不足の施設では、一人当たりの仕事量が増えるため、給与に対する不満が強くなる傾向があります。
4. 福利厚生や手当の不足
賃金だけでなく、福利厚生や手当が少ないことも理由の一つです。夜勤手当や特別手当などが十分でないと、生活が厳しくなり、他の業種や職種への転職を検討するケースが増えます。
収入面に関しては経営者だけでなく、国全体での支援や対策が必要
- 賃金アップの推進 国や地方自治体は、介護職の賃金を引き上げるための支援制度を導入していますが、現場に十分な恩恵が行き渡っていないこともあります。賃金を引き上げるためには、施設経営者が国の補助金や支援策を最大限活用し、職員に還元する努力が必要です。また、経営者は賃金改善の取り組みを積極的に行い、職員のモチベーションを維持することが重要です。
- キャリアアップの仕組み作り 介護職員にとって、キャリアアップの機会を提供することが有効です。例えば、介護福祉士やケアマネージャーなどの資格取得支援制度を整備し、資格を取得すれば賃金が上がる仕組みを作ることで、職員の定着率を向上させることができます。
- 働きやすい労働環境の整備 収入だけでなく、労働環境の改善も大切です。労働時間の短縮や、職員の負担軽減策を取り入れることで、職員が安心して働ける環境を整える必要があります。例えば、ITや機械を導入して業務効率を上げることで、職員の負担を軽減し、少しでも収入に見合った労働環境を提供することが重要です。
- 福利厚生の充実 賃金だけでなく、福利厚生を充実させることも有効です。例えば、住宅手当や子育て支援など、職員の生活をサポートする制度を導入することで、職員の生活の安定を図り、離職率を下げることが期待できます。
- 職員の意見を反映させる経営 職員の意見を積極的に取り入れる経営を行うことも重要です。賃金や労働環境に関する意見をフィードバックし、改善する姿勢を見せることで、職員の信頼を得て、退職を防ぐ効果があります。
介護職における収入面の不満は、根本的な構造的問題が多いため、経営者だけでなく、国全体での支援や対策が必要です。
業務の過重負担
1. 人手不足
介護業界全体で慢性的な人手不足が続いています。高齢化社会が進む中、介護を必要とする高齢者の数が増加している一方で、介護職に従事する人の数が追いついていない状況です。そのため、一人ひとりの介護職員にかかる業務の負担が大きくなります。例えば、少ない人数で多くの利用者をケアしなければならず、結果的に長時間労働や過剰な仕事量が避けられなくなります。
2. 多様で専門的な業務
介護職員は、食事や排泄の介助、入浴の補助、移動支援などの身体介助に加え、書類の作成や利用者家族との連絡、医療機関との連携なども担当します。これらの業務は専門性が高く、幅広いスキルが必要です。日々の業務が多岐にわたるため、特に新人や経験の浅い職員は業務量に圧倒されやすい傾向があります。
3. 夜勤や長時間労働の負担
介護施設では24時間体制で利用者を支える必要があり、夜勤や長時間労働が求められます。特に夜勤は体力的にも精神的にも負担が大きく、睡眠不足や健康への影響が懸念されます。また、夜勤を含めたシフト制の勤務は生活リズムが不規則になり、長期的な働き方として難しいと感じる職員も多いです。
4. 緊急対応や突発的な仕事の発生
介護の現場では、利用者の健康状態の急変や突発的な問題が頻繁に発生します。このような状況に対して迅速に対応しなければならないため、予定していた仕事が後回しになり、業務が重なることが多いです。日々の業務スケジュールに柔軟に対応しなければならないため、職員にかかる負担がさらに増大します。
5. 心身の疲労
介護職は身体的な負担が大きく、特に身体介助や移乗などで体力を消耗します。これに加えて、利用者やその家族との感情的なやりとりや、死別などの心理的負担も積み重なり、心身ともに疲労しやすい職種です。これが長期間続くと、身体的にも精神的にも限界を感じ、離職を考えるようになります。
対策
- 人員の増強と効率化 人手不足を解消するため、職場全体で採用を強化するだけでなく、業務の効率化やITの活用(例えばケア記録の電子化など)を進めることで、職員の負担を軽減することが考えられます。
- 勤務環境の改善 夜勤や長時間労働に対して、適切なシフト管理や休息時間の確保が必要です。また、夜勤手当の増額などの経済的な支援も有効です。
- 研修とサポート体制の充実 新人や経験の浅い職員に対しては、業務に対する十分な研修とサポートが不可欠です。これにより、仕事に対する不安やストレスを軽減し、適切に業務をこなせる環境を整えることができます。
- メンタルヘルスのケア 心理的な負担が蓄積しないよう、定期的なカウンセリングやメンタルヘルス支援を行うことも重要です。気軽に相談できる環境を整えることで、職員の精神的な安定を図ります。
これらの対策を実施することで、業務の過重負担を減らし、離職率を低下させる効果が期待できます。
メンタルが限界
1. 感情的な負担
介護士は、利用者との日々のやり取りや、利用者の家族との関係の中で強い感情的な負担を感じることが多いです。特に、利用者の急変や死に直面することが多く、感情的に消耗する場面が頻繁に発生します。また、利用者やその家族からのクレームや不満を受けることもあり、それが精神的なストレスに繋がります。
2. 過剰な責任感
介護職は、利用者の命や生活に直結する仕事です。そのため、「失敗できない」「常に最善を尽くさなければならない」という強い責任感を抱くことが多く、そのプレッシャーがメンタルに大きな負荷をかけます。また、忙しい現場で他の職員に頼りにされすぎたり、責任を一手に引き受ける状況が続くと、さらにストレスが増大します。
3. 人手不足による業務過多
慢性的な人手不足のため、一人の介護士が多くの業務を抱えざるを得ない状況が続きます。日々の仕事が時間に追われ、利用者に十分なケアが提供できないことに対して自己嫌悪や無力感を感じることも少なくありません。これが長期的なストレスの蓄積につながり、メンタルの限界に達してしまうことがあります。
4. 職場環境のストレス
介護現場では、職員同士や上司とのコミュニケーションが円滑でないことがストレスとなるケースもあります。特に、意見や悩みを共有できない環境や、サポート体制が不十分な職場では、孤独感や不安感が強まり、メンタルに悪影響を及ぼします。
5. 感謝の少なさ
介護の仕事は利用者やその家族から感謝されることもありますが、一方で当たり前と思われることが多く、感謝の言葉をもらえないこともあります。自分の努力が認められないと感じ、仕事への意欲を失うことがメンタル面での限界を引き起こすことがあります。
対策
1. メンタルヘルスケアの導入
定期的にメンタルヘルスのチェックやカウンセリングを受けられる環境を整えることが重要です。職員がストレスを感じた際にすぐに相談できる窓口を設け、心のケアに積極的に取り組む職場文化を醸成することで、早期に問題を発見・解決できます。
2. 感情面のサポートや研修
感情的な負担を軽減するためのストレス管理や自己ケアに関する研修を行うことが有効です。感情労働に適切に対処する方法を学ぶことで、ストレスを抱え込みすぎず、健全に仕事に向き合えるようになります。また、利用者との距離感や限度を適切に保つ方法を教えることも重要です。
3. サポート体制の強化
管理者や上司が職員の負担を理解し、適切なサポートを提供できる体制を強化することが重要です。例えば、職員がオーバーワークに陥らないように業務の見直しやシフトの調整を行うことで、心身の負担を軽減します。
4. 感謝や評価のフィードバック
介護職員の努力や貢献を認め、定期的に感謝の意を伝える仕組みを作ることもメンタルケアに効果的です。職員が自分の仕事に対して肯定的なフィードバックを受けることで、モチベーションが向上し、メンタルの負担が軽減されます。
5. 休暇やリフレッシュの推奨
介護職は心身の疲労が蓄積しやすいため、定期的な休暇取得やリフレッシュの機会を提供することが大切です。過度な業務負担を避けるために、しっかりと休める環境づくりが求められます。
6. チームワークとコミュニケーションの改善
職場の人間関係が良好であれば、メンタルの負担が軽減されることが多いです。定期的なミーティングや職員同士の情報共有を促進し、互いに支え合う文化を作ることで、孤独感や不安感を減らすことができます。
これらの対策を導入することで、介護士がメンタルの限界を迎える前にサポートができ、離職を防ぐことが期待されます。
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