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介護現場における虐待防止ガイドラインと実践方法

介護士の虐待

よくニュースにもなっている介護の現場での虐待についてです。高齢者施設、障がい者施設、訪問介護

では虐待防止という研修が頻繁に行われています。虐待というのは介護士として絶対に起こしてはいけない事、しかし実際虐待が行われて事件になった例も多くありますし、現場で他の職員の対応を見て

「これって虐待じゃないの?」と思う場面はあります。今回はなぜ虐待をしない、防ぐために虐待、拘束の基本知識について解説していきます。

他にも介護士のためになる内容をまとめた記事を掲載しますのでまたよろしければご覧下さい。

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目次

虐待の種類

介護士による虐待は、介護施設や家庭で高齢者や障害者を対象に行われる深刻な問題です。この虐待には、身体的心理的性的経済的な虐待またはネグレクト(放置・無視)が含まれます。具体的な例としては、以下のような行為が挙げられます。

1. 身体的虐待

身体的虐待
  • 暴力を振るう(殴る、蹴る、つねるなど)
  • 無理やり薬を服用させる、または薬を与えない
  • 強引に身体を移動させる

2. 心理的虐待

心理的虐待
心理的虐待 威圧
  • 侮辱や罵倒する言葉を使う
  • 無視や無関心で接する
  • 威圧的な態度をとる、恐怖を与える

3. 経済的虐待

経済的虐待
  • 利用者のお金や資産を不正に利用する
  • 財産の管理を不適切に行う

4. 性的虐待

性的虐待
  • 性的な暴行や嫌がらせを行う
  • 同意なしに性的な接触を強要する

5. ネグレクト(放置・無視)

ネグレクト
  • 食事や薬の提供を怠る
  • 体のケア(排泄や入浴など)を適切に行わない
  • 安全な環境を提供しない

虐待の要因:

虐待が起こる要因は多岐にわたりますが、介護士のストレス、業務過多、教育不足、施設の管理体制の不備、または個人的な問題(精神的・経済的な悩みなど)が挙げられます。

虐待の予防:

  1. 教育・研修の強化:介護士に対して適切な研修を行い、ストレス管理や虐待の兆候を理解させることが重要です。
  2. 監査体制の整備:介護施設における定期的な監査や、外部からの監視が必要です。
  3. 内部通報制度の導入:虐待を早期に発見できるよう、内部通報や相談窓口を整備することが重要です。
  4. ストレス管理支援:介護士の心身のケアを行い、ストレスを軽減するためのサポートが必要です。

介護の現場で働く人々の負担を軽減し、倫理的な職場環境を整えることで、虐待を防ぐことが可能です。

何か具体的なケースや質問があれば、さらに詳しくお答えできます。




無意識でしていませんか?何気ないその行為も虐待に該当します

女性利用者に怒る介護士

介護士が無意識に行ってしまう行為の中には、本人が意図していなくても虐待に該当する危険があるものがありますこれは、過剰なストレスや業務の忙しさ、知識不足などから生じることが多いです。以下に、介護士が気づかずに虐待とみなされる可能性のある行為について説明します。

1. 無意識の身体的な接触や取り扱い

  • 乱暴な介助:急いで作業を進めるために、利用者を無理に引っ張ったり、押したりしてしまうことがあります。これは、本人に悪意がなくても、利用者にとって身体的な苦痛や負担をかける場合があり、身体的虐待とみなされることがあります。
  • 適切な体位変換や移乗の不足利用者の体位を長時間変えずに放置すると、褥瘡(床ずれ)が発生する危険があります。これはネグレクトとみなされることがあります。

2. 心理的なプレッシャーを与える行為

  • 無視や冷たい態度忙しさや疲労から利用者の要求や質問に対して冷たい態度を取ったり、返事をしなかったりすることがあります。これは、利用者が孤立感や不安感を抱き、心理的虐待と見なされることがあります。
  • 一方的な命令口調:特に高齢者や認知症を持つ利用者に対して、過剰に指示的な言い方(「さっきも言ったでしょ」「うるさい」など)をしたり、威圧的な態度を取ることは心理的虐待に該当することがあります。

3. 適切でない対応や選択肢の制限

  • 選択肢を与えない食事や着替えの選択肢を利用者に与えず、一方的に決めてしまう行為は、利用者の自己決定権を無視することになり、尊厳の侵害となります。利用者の意向を尊重しないことは、虐待の一形態と考えられます。
  • 過剰な制約利用者の行動を過剰に制限し、トイレや自由な時間を必要以上に管理することは、心理的・身体的虐待に該当する場合があります。

例えば、トイレに行きたいという利用者に「トイレ誘導の時間は決まってるので我慢して下さい」というのはこれに当たります。

4. 化学的拘束(薬物の過剰使用)

  • 安易な薬の使用:利用者が不安や興奮を示した際に、安定剤や睡眠薬を過剰に使用してしまう場合があります。これは、化学的拘束と呼ばれ、過剰な薬物使用によって利用者の自由な意思や行動を制限することは虐待とみなされることがあります。

5. 必要なケアを怠る(ネグレクト)

  • 食事や水分補給の不足:忙しいときに、利用者が水分を取りたがっていても適切に対応せず、長時間飲食をさせないことはネグレクトにあたります。
  • 清潔保持の怠り:利用者の衛生管理を怠り、体が汚れたままで放置したり、排泄ケアが不十分な場合、ネグレクトに該当することがあります。

6. 適切なコミュニケーション不足

  • 利用者の意向を無視する:介護計画や日常のケアにおいて、利用者の意向や希望を無視し、一方的に介護を進めてしまうことがあります。これは、利用者の尊厳を傷つける行為となり、精神的虐待の要素が含まれることがあります。

7. 不必要な身体拘束

  • 安全を理由にした拘束:転倒予防や行動を制限するために、ベッド柵や車椅子に縛るなどの措置を安易に行うことは、身体拘束として扱われ、適切でない場合は虐待に該当します。安全を確保するために必要な場合でも、他の手段を十分に検討することが求められます。

8. ケアの放置や時間的な遅れ

  • 適切な対応が遅れる:緊急時や、日常的なケアを必要としているにもかかわらず、適切な対応が遅れたり、意図的に放置されるとネグレクトの一形態となり得ます。

防止策

  1. 自己チェック:日々のケアを振り返り、自分の行動が虐待につながっていないか確認することが大切です。
  2. チームでの話し合い:現場の同僚や上司と定期的にケアについて話し合い、問題を共有することが虐待防止に役立ちます。
  3. 利用者中心のケア:利用者のニーズや希望を尊重し、個別対応を心がけることで、虐待のリスクを減らすことができます。
  4. ストレス管理:介護士自身のストレスや過労が、無意識の虐待行為に繋がることがあります。適切な休養やサポートを得ることが重要です。

このように、介護士が知らず知らずのうちに行っている行為が虐待に繋がることもあるため、常に利用者の視点に立ち、ケアの質を高めることが大切です。




拘束

拘束

介護士が利用者を拘束する行為は、法律や倫理の観点から非常に慎重に扱われるべき問題です。日本では、利用者の身体拘束は原則として禁止されています。身体拘束にあたる行為や、その適用が認められる条件について詳しく説明します。

身体拘束に該当する行為

身体拘束は、利用者の自由な行動を制限する行為を指します。具体的には以下のような行為が該当します。

  1. ベッドや車椅子への固定
    • ベルトやストラップを用いてベッドや車椅子に利用者を縛り付けること。
  2. ミトンの使用
    • 自傷行為や他者への攻撃を防ぐ目的で、手袋のような形をしたミトンを使用し、利用者が自由に手を使えないようにすること。
  3. ベッド柵の使用
    • ベッドからの転落を防ぐ目的でベッド柵を設置し、利用者が自力でベッドから出られないようにすること。※ベッド柵で周囲を完全に囲ってしまうと拘束になります!3点柵の利用者さんに対して、体動が多い、勝手に起きてこられないようになどの理由で職員が勝手に判断し車椅子などをベッドに密着させてベッドを囲う行為も拘束に当たります!
  4. 車椅子の動きを制限
    • 車椅子の車輪をロックして利用者が自力で動けないようにすること。
  5. 薬による拘束(化学的拘束)
    • 精神安定剤や睡眠薬を過剰に投与し、意図的に利用者の行動を制限すること。
  6. 一室への閉じ込め
    • 他の利用者やスタッフとの接触を制限するために、部屋に閉じ込める行為。

身体拘束が認められる例外的な状況

日本の介護施設では、厚生労働省のガイドラインに基づき、身体拘束は原則禁止されていますが、例外的に認められる場合もあります。その条件は次の3つすべてに該当する場合です。

  1. 切迫性
    • 利用者が自分や他人に対して重大な危険を及ぼす可能性がある場合。たとえば、転倒による重大な怪我のリスクが高い場合や、自傷・他傷行為がある場合。
  2. 非代替性
    • 他に代わりとなる対応手段がない場合。たとえば、環境の整備や介護職員の見守りだけではリスクを軽減できない場合。
  3. 一時性
    • 身体拘束は一時的な対応に限る必要があり、長時間の拘束は許されない。拘束が必要な期間が過ぎたら、すぐに解除しなければならない。

身体拘束を防ぐための取り組み

  1. 環境の改善
    転倒防止のために、家具の配置を工夫したり、利用者が安全に動ける空間を確保する。
  2. ケアの個別化
    各利用者の状態やニーズに応じたケアプランを作成し、適切な見守りやサポートを行う。
  3. スタッフの教育
    介護士に対して身体拘束のリスクや倫理的な問題についての教育を強化する。
  4. 家族との協力
    家族と連携し、拘束以外の手段で利用者の安全を確保する方法を共に考える。

法的な規制

身体拘束は、利用者の基本的人権を侵害する可能性があるため、介護保険法や老人福祉法などにおいて厳格に規制されています。適切な手続きを経ずに身体拘束を行った場合、施設や介護士が法的責任を問われることがあります。

拘束が必要とされる場合でも、常に他の方法がないかを検討し、利用者の尊厳を守ることが大切です。




どうしても身体拘束が必要な場合

暴れる利用者

身体拘束を行う施設では、家族への許可取得や書類の作成が必要とされていますが、それが必ずしも家族の同意だけで許されるわけではありません。身体拘束は、利用者の自由を制限する行為であり、日本の介護制度では原則として禁止されています。ただし、利用者の安全を確保するためにどうしても必要な場合には、以下のような手続きを行うことが求められます。

1. 家族への説明・許可

  • 説明義務: 施設は、身体拘束が必要な理由やその方法について、家族に十分な説明を行う義務があります。説明は単に拘束の内容だけでなく、その目的や他に選択肢がないかどうかも含まれます。
  • 同意取得: 家族の同意を得ることが一般的ですが、家族の同意だけで身体拘束が許されるわけではなく、専門家の判断も重要です。家族の同意があっても、不適切な身体拘束は法的に問題となる可能性があります。

2. 書類にサイン

  • 同意書の作成: 身体拘束を行う場合、多くの施設では家族の同意を証明するために同意書にサインを求めることがあります。この書類には、身体拘束を行う目的、方法、期間などが明記されるべきです。
  • 記録の保存: 身体拘束を行った場合、その事実を記録し、家族や行政が確認できるようにする必要があります。

3. 記事・記録の作成

  • 拘束実施の記録: 施設は、身体拘束を実施した理由や方法その時の利用者の状態拘束の時間などを詳細に記録しなければなりません。これには、施設内の他の専門職(医師や看護師、介護職員など)の意見や判断も含まれます。
  • 定期的な見直し: 身体拘束を行った場合、その措置が継続的に必要かどうかを定期的に見直すことが求められています。見直しの際には、家族や専門家と協議し、拘束を減らす努力を行うことが重要です。

4. 第三者委員会の設置

  • 身体拘束を行う施設では、身体拘束の必要性について検討するための第三者委員会の設置が推奨されています。ここでは、医療・福祉の専門家が身体拘束の妥当性を検討し、適切な対応が取られているかどうかを確認します。

まとめ

家族への許可取得や同意書の作成、記録の作成は必須であり、さらに施設は定期的に身体拘束の妥当性を見直す必要があります。また、家族の同意があったとしても、それが法律的に身体拘束を正当化するわけではなく、専門家の判断が求められます。




身体拘束を行うと会社の評価が下がる?

査定報告書

身体拘束を行う施設は、処遇改善加算手当の取得において不利になる可能性があります。

処遇改善加算は、介護職員の処遇を改善するために支給される加算制度ですが、その要件には、適切なケアと利用者の権利を尊重することが求められます。身体拘束は、原則として避けるべき行為とされており、厚生労働省は身体拘束の適正化を重視しています。

虐待を目撃したらどうすればいい?

両目アップ

介護の現場で虐待に気づいた場合、迅速かつ適切に対応することが非常に重要です。

  • 緊急性を判断する: 利用者の生命や身体に危険が迫っている場合は、すぐに救急車を呼び、警察に通報する必要があります。特に身体的虐待や、生命にかかわる状態であれば、ためらわずに通報を行います。
  • 記録を残す: 虐待の疑いがある状況に気づいた場合、その状況を詳細に記録します。日時状況目撃した内容利用者の状態(怪我の有無や精神的な様子)を具体的に記載します。記録は後で重要な証拠となります。
  • 写真やメモ: 利用者が怪我をしている場合や、明らかに虐待の痕跡がある場合は、許可を得た上で写真を撮ることも有効です。
  • 上司、管理者に速やかな報告: 虐待の疑いを持った場合は、まずは自分だけで判断せずに、上司や訪問介護事業所の管理者に速やかに報告します。個人で判断すると適切な対応が取れないことがあるため、組織的に対応することが重要です。
  • 市町村、介護保険の担当部署高齢者虐待防止法に基づく通報: 高齢者に対する虐待が疑われる場合、高齢者虐待防止法に基づき、市町村(地域包括支援センターや福祉課など)に通報する義務があります。介護職員としては通報を怠ることが法的責任に問われることがあります。
  • 地域包括支援センターや警察への相談: 専門機関や警察に相談し、どのように対応すべきかアドバイスを受けるのも有効です。




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この記事を書いた人

高校卒業後18歳で介護の道へ進むも2年で退職しフリーター生活に。
24歳で介護士に復帰するが、目標が定まらないまま施設を転々とする日々を過ごす。
祖母が認知症になったことをきっかけに「介護士としてもっと頑張らなければ」と奮起し、28歳でようやく介護福祉士資格を取得。
現在はキャリアアップを目指して介護施設で勤務しながら日々勉強中!

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