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在宅介護で役に立つ高齢者の移乗(ベッド↔︎車椅)の安全なコツ

介護業務

高齢者の在宅介護において、移乗(ベッドから車椅子への移動など)は頻繁に行われる重要なケアの一つです。安全に移乗を行うことで、介護者と高齢者の双方の負担を軽減できます。




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目次

高齢者の在宅介護における移乗の重要性

介護施設個室

在宅介護において、移乗(いじょう)は高齢者の日常生活を支える基盤となるケアの一つです。

移乗とは、ベッドから車椅子車椅子からトイレなど、高齢者を安全かつ快適に別の場所へ移動させることを指します。この移乗の重要性は、多岐にわたる理由から強調されます。




1. 高齢者の生活の質(QOL)の向上

  • 自立支援: 適切な移乗サポートにより、高齢者が自分でできることを増やし、自立した生活を促進します。
  • 活動範囲の拡大: スムーズな移乗は、高齢者が家の中や外出先での活動を容易にし、生き生きとした生活を送る手助けとなります。
  • 心理的安定: 自分で移動できることは、高齢者の自尊心や自信を高め、精神的な安定につながります。

2. 安全性の確保

  • 転倒・怪我の防止: 正しい移乗技術は、高齢者が転倒や怪我をするリスクを大幅に減少させます。
  • 介護者の負担軽減: 適切な方法で移乗を行うことで、介護者自身の腰痛や筋肉疲労などの負担を軽減できます。

3. 身体機能の維持・向上

  • 筋力低下の防止: 移乗時の動作は、高齢者の筋力や柔軟性を維持・向上させる効果があります。
  • 血行促進: 体を動かすことで血液循環が良くなり、褥瘡(床ずれ)の予防にもつながります。

4. 介護効率の向上

  • 時間の有効活用: スムーズな移乗は、介護時間の短縮につながり、他のケアに時間を割くことができます。
  • ストレスの軽減: 高齢者と介護者双方の不安やストレスを軽減し、良好な関係を築くことができます。

5. 緊急時の対応力強化

  • 迅速な避難: 災害時や急病時に、迅速かつ安全に高齢者を移動させるための技術が身につきます。
  • 危機管理能力の向上: 日頃から移乗技術を磨くことで、予期せぬ事態への対応力が高まります。

移乗についてのまとめ

移乗は、高齢者の生活の質を高め、安全で快適な在宅介護を実現するための鍵となる要素です。適切な移乗技術の習得は、高齢者の自立と健康をサポートし、介護者の負担を軽減します。また、日々のケアを通じて信頼関係を深め、安心感を提供することにもつながります。

おすすめの取り組み

  • 専門家からの指導: 介護福祉士や理学療法士から正しい移乗方法を学ぶことをおすすめします。
  • 定期的な練習: 実践を重ねることで技術が向上し、安全性が高まります。
  • 適切な用具の活用: スライディングボードやリフトなどの補助具を適切に使用することで、移乗がより安全かつ楽になります。

高齢者の在宅介護をより良いものにするために、移乗の重要性を理解し、日々のケアに活かしていきましょう。




移乗の安全なコツ

高齢者移乗

介護施設、訪問介護などでプロの介護士が実践している安全な移乗のコツをまとめてみました。

1. 事前準備を徹底する

  • 環境の整備: 移乗スペースを確保し、床の滑りやすさや障害物をチェックします。
  • 必要な道具の準備: 車椅子や歩行器、スライディングボードなどの補助具を事前に用意します。

2. 高齢者の状態を確認する

  • 体調チェック: 疲労や痛み、めまいがないかを確認します。
  • 理解度の確認: 移乗の手順を説明し、理解してもらいます。

3. 正しい姿勢で行う

  • 腰を落として重心を低く: 膝を曲げて腰を落とし、腰への負担を軽減します。
  • 足を肩幅に開く: 安定した姿勢を保ちます。
  • 背筋を伸ばす: 背中をまっすぐにし、体全体で支えます。

4. 高齢者に協力を促す

  • 声かけをする: 「今から立ち上がりますね」など、タイミングを伝えます。
  • 自立をサポート: 可能な範囲で自分で動いてもらい、自尊心を保ちます。

5. 補助具を活用する

  • スライディングシートの使用: ベッドから車椅子への移乗をスムーズにします。
  • リフトの活用: 自力での移乗が難しい場合は、リフトを使用します。

※補助用具については後ほど詳しく解説します。

6. 移乗のテクニックを習得する

  • ピボット移乗法: 高齢者を立たせずに座ったままで回転させる方法です。
  • 二人介助法: 重度の介助が必要な場合は、二人で行います。

7. 安全確認を徹底する

  • ブレーキの確認: 車椅子やベッドのブレーキが確実にかかっているか確認します。
  • 靴や衣類のチェック: 滑りやすい靴や衣類は避けます。

8. 自分の体を守る

  • 無理をしない: 自分の体に過度な負担をかけないようにします。
  • 適切な休憩: 疲労が溜まらないよう、こまめに休憩を取ります。




移乗に役立つ福祉用具

福祉用具

適切な福祉用具を使用することで、高齢者と介護者の双方にとって安全で快適な移乗が可能になります。

介護施設や訪問介護の業務では毎日何度も移乗を行うので

職員の安全予防や利用者さんが移乗の時に安心できるように移乗用の補助具を使用しています。

こちらは在宅介護の移乗にも使用できて移乗動作も快適にスムーズに行うことができます。

移乗に役立つ福祉用具をいくつかご紹介します。

1. スライディングボード(移乗ボード)

スライディングボード
  • 概要: ベッドから車椅子、車椅子からトイレなどへの移乗をサポートする板状の用具です。
  • 特徴: 滑りやすい素材でできており、高齢者が座ったまま移動できます。
  • メリット:
    • 介助者の負担を軽減
    • 高齢者の自立を促進
    • 転倒や怪我のリスクを減少

私の使った感想ですが、ボード自体もそこまで大きくなく収納にも困りませんし、車椅子の手すりを外してベッドと平行にしてスライドさせるだけなので腰への負担も軽減されます。

体重の重い利用者さんでもスライディングボードを使用することによって1人でもスムーズに移乗することができます。

2. スライディングシート(移乗シート)

スライディングシート
  • 概要: シート状の用具で、ベッド上での体位変換や移乗をスムーズに行えます。
  • 特徴: 摩擦を減らす素材で作られており、高齢者の体を滑らせて移動させることができます。
  • メリット:
    • 介助者の腰への負担を軽減
    • 褥瘡(床ずれ)の予防に効果的
    • 安全かつ快適な移乗が可能

こちらは先ほど紹介したボードのシートバージョンです。

違いは、シートはリクライニング車椅子、ベッドから平行な位置に移乗する時、体位変換の時に使用します。

3. 移乗用リフト

移乗用リフト
  • 概要: 電動または手動で高齢者を持ち上げ、移乗をサポートする機器です。
  • 種類:
    • 床走行式リフト: 車輪がついており、室内で移動可能
    • 天井走行式リフト: 天井に設置されたレールを移動
  • メリット:
    • 自力での移乗が難しい方に適応
    • 介助者の体力負担を大幅に軽減
    • 安全性が高い

こちらは体の下にハンモッグを敷いて電動リフトのリモコン操作して車椅子に移譲するための福祉用具です。こちらは利用者さんによってはご自分で操作をする方もいます。

しかしこちらは設置するスペースを確保しなければいけないのが難点です。

4. 移乗用ベルト(介護用ベルト)

移乗用ベルト
  • 概要: 高齢者の腰や胸に巻いて使用し、介助者がしっかりと支えるための用具です。
  • 特徴: 滑り止め加工や持ち手がついており、介助者が安定してサポートできます。
  • メリット:
    • 介助者の握力負担を軽減
    • 高齢者が安心して移乗できる
    • 小型で持ち運びが容易
  • イラストは入浴介助の時の様子ですが移乗の際も使用可能です。
  • こちらは動作自体は従来の移乗と変わりませんがベルトを巻くことで体同士密着した状態を保つことができ、ベルトに持ち手がついているので負担が軽減します。

5. 立ち上がり補助装置

立ち上がり補助具
  • 概要: ベッドや椅子からの立ち上がりをサポートする用具です。
    • 手すり付き補助具: ベッドサイドやトイレに設置
  • メリット:
    • 高齢者の自立を支援
    • 転倒リスクを減少
    • 介助者の負担を軽減
  • こちらは利用者さんの残存機能を活かし、立ち上がりを補助する用具です。

6. エアスライディングシート

  • 概要: 空気を利用して高齢者を浮かせ、移乗や体位変換を行う用具です。
  • 特徴: 空気圧で摩擦を減らし、軽い力で移動可能
  • メリット:
    • 重度の介護が必要な方に適応
    • 介助者の体力負担を大幅に軽減
    • 褥瘡予防に効果的

7. 介護用エプロン(抱え上げ補助具)

  • 概要: 介助者が装着し、高齢者を抱え上げる際の補助を行います。
  • 特徴: 耐久性のある素材で、持ち手や滑り止めがついています。
  • メリット:
    • 介助者の腰痛予防
    • 安全な抱え上げが可能
    • 高齢者に安心感を提供

福祉用具選びのポイント

  1. 利用者の身体状況に合わせる: 筋力やバランス感覚、可動域などを考慮して選びます。
  2. 介護環境を確認する: 部屋の広さや段差の有無、家具の配置などをチェックします。
  3. 専門家に相談する: 理学療法士や作業療法士、福祉用具専門相談員に相談すると、適切な用具を提案してもらえます。
  4. 試用やレンタルを活用する: 購入前に試用して使い勝手を確認します。介護保険でのレンタルが可能な場合もあります。

まとめ

移乗に役立つ福祉用具を活用することで、高齢者の安全性と自立性を高め、介護者の負担を軽減できます。適切な用具を選び、正しい方法で使用することが重要です。ぜひ、専門家、ケアマネージャーさんなどに相談しながら最適な福祉用具を取り入れて、快適な在宅介護を実現しましょう。




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この記事を書いた人

高校卒業後18歳で介護の道へ進むも2年で退職しフリーター生活に。
24歳で介護士に復帰するが、目標が定まらないまま施設を転々とする日々を過ごす。
祖母が認知症になったことをきっかけに「介護士としてもっと頑張らなければ」と奮起し、28歳でようやく介護福祉士資格を取得。
現在はキャリアアップを目指して介護施設で勤務しながら日々勉強中!

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